白雪に咲くやこの花紅い花。映画『修羅雪姫』(1973・日本)

1月11日はマンガ家・上村一夫先生の命日です。

(かみむら かずお、1940年3月7日 - 1986年1月11日)

2020年の今年で生誕80年、亡くなられてから、34年ということになります。

氏の数ある代表作のうちの一つ、「修羅雪姫」を映画で見ていきましょう。

まずは何しろ梶芽衣子さんに

「あなたは世界で一番かっこいい女で賞」

を差し上げたいです。

ちなみに前回の受賞者は

「ロングキス・グッドナイト」のジーナ・デイビスでした。

三白眼という言葉は、どちらかというと

否定的な意味で使われている印象があります。

梶芽衣子さんは黒目も大きく、三白眼には当てはまらないと思うのですが、不思議と白目の部分が魅力的なのです。

まさに雪を連想させる純白さです。

とにかくひたすらかっこいいです。

クエンティン・タランティーノがオマージュを捧げたり、今もリメイクが作られ続けているのもうなずけます。

よい機会なので、小池一夫(当時は『小池一雄』表記)原作、上村一夫・画のマンガも読んでみました。

週刊プレイボーイ誌上で連載されたのは、1972年ですから、今から[ago from="19720201"]も前のこと。

これが全く古くささを感じさせないから驚きです。

芸術の域にまで達している

故・上村一夫さんの絵に拠るところも大きいのでしょう。

https://www.amazon.co.jp/s/ref=sr_hi_ebs?rh=k%3A%E4%B8%8A%E6%9D%91%E4%B8%80%E5%A4%AB%2Cn%3A2250738051%2Cp_n_feature_nineteen_browse-bin%3A3169286051&ie=UTF8&qid=1547195279&keyword=%E4%B8%8A%E6%9D%91%E4%B8%80%E5%A4%AB

DVD特典で、梶芽衣子さん、小池一夫さんそれぞれの

インタビューが観られます。

当時、上村一夫さんは、よく仕事を抜け出しては

バーにフラメンコ・ギターを弾きに行くから困った、と小池御大が仰っています。

https://twitter.com/koikekazuo

多才な人だったんだなあ、上村さんって。

梶芽衣子さんのほうは、着物の着付けや所作など、以前マキノ雅弘監督から教わったことが、この映画で非常に役に立ったと仰っています。

ちなみに本作は藤田敏八監督。

小道具さんが、血しぶきの加減を間違えて、全身真っ赤になったとも(笑)。

とにかく梶芽衣子さんがこれだけかっこいいとあっては、続編を見ずにはいられませんね。

あらすじ (ネタバレあります!)

明治6年(1873)、日本で初めて徴兵制が導入された。

農民たちは騒然となり、各地で一揆が頻発。

その混乱に乗じて、悪事を企む4人の輩がいた。

彼らは「国に大金を納めれば徴兵が免除される」と流布し、農民たちからたっぷりを金を巻き上げた後、逐電する。

噂はもう一つあった。

徴兵逃れを取り締まるために白服を着た

「徴兵官」なるものが全国を回っているというのだ。

運の悪いことに、中学教師として村に赴任してきた

鹿島剛(大門正明)がまさに白い洋装だった。

鹿島と息子の司郎(内田慎一)は

例の“悪だくらみ4人組”に惨殺される。

妻の小夜(赤座美代子)はさんざん犯されたあげく、首謀者の一人、正景徳市(地井武男)に、妻として東京に連れて行かれる。

小夜は、徳市を殺害。

無期徒囚として監獄に入れられる。

小夜は、

「自分が娑婆に出られないのなら、男の子を宿してその子に復讐を託そう」

と企てる。

男でありさえすれば、誰彼かまわず抱かれる小夜。

ついに妊娠、そして獄中出産。

だが生まれてきた赤ん坊は女の子だった。

赤ん坊は「雪」と名付けられた。

この子が後に「修羅雪姫」と呼ばれるようになる。

小夜はその後、獄中で死亡。

お雪は、小夜の遺志を継いで出所した

三日月お寅(楠田薫)に引き取られ、道海和尚(西村晃)の下で、殺人マシンとなるべく

壮絶な特訓を受けながら育てられる。

母の二十回忌を機に、お雪の復讐劇が始まった。

お雪はまず、乞食の胴元・松右衛門(高木均)を訪れ、全国の乞食ネットワークを駆使して

3人の居場所をさがしてほしいとお願いする。

松右衛門は交換条件を持ち出す。

その条件とは、乞食の部落をつぶそうとしているヤクザの親分、柴山源三(小松方正)の暗殺である。

(映画はこの暗殺シーンから始まる。

お雪は鮮やかな舞をみせ、目的を遂げる)

まず一人目の仇の所在が分かった。

竹村伴蔵(仲谷昇)は体を病み、海沿いの村で、娘の小笛(中田喜子)と竹夫人づくりをして生計を立てている。

竹夫人-Wikipedia

(ちくふじん。 稀に「竹婦人」とも)とは、竹で作られた筒状の抱き枕を言う。

英語では、Dutchwifeとも呼ばれる)

Illustration: Kazuo Kamimura[/caption]

じつをいうと、その商売ではまったく食っていけてない。

娘の小笛は竹夫人を作ったそばから海に投げ捨て、体を売って生活費を稼いでいるのだった。

父親の伴蔵は、そうとは知らずバクチで遊んでいる。

賭場で、伴蔵がイカサマを見破られ窮地に立たされた。

そこを救ったのがお雪。

彼女は、二人きりになったところで素性を明かす。

命乞いをする伴蔵。

因果応報!

お雪の鋭い叫びと同時に刀が一閃。

伴蔵は息絶えた。

お雪は、ひとり残された小笛を不憫に思ったか、困ったことがあったら訪ねてくるよう言い残す。

父親を殺したのがお雪だとは、知るよしもない小笛である。

次なるターゲット、塚本儀四郎は3年前に死んでいた。

悔しさのあまり墓前の花を斬るお雪。

それを見ていたのが、小さな新聞社をやっている

龍嶺(りゅうれい=黒沢年雄)だ。

彼はお雪の尋常ならざる怒りに興味を持つ。

彼女に無断で道海和尚に取材をし、その復讐譚「修羅雪姫」を新聞に連載、これが大好評を博す。

ちなみに竜嶺は映画のオリジナルキャラ。

原作でこの役割を担うのは人気小説家の宮“原"外骨。

お雪の半生を新聞記者に明かしたのには、道海和尚なりの狙いがあった。

最後の仇、北浜おこの(中原早苗)を

おびきだすためだったのである。

この目論見は思わぬところに波及する。

伴蔵の娘・小笛が竜嶺を訪ねてきたのだ。

小説の内容がすべて事実だと告げられた小笛は、父の仇としてお雪をつけ狙い始める。

さらに警官隊が竜嶺の新聞社にやってきた。

騒乱罪として竜嶺をしょっ引くという。

だが竜嶺が連れて行かれたところは

警察署ではなく料亭だった。

実は彼らはニセ警官で、北浜おこのの指図で竜嶺を拉致したのである。

彼を人質にしてお雪をおびきだそうというのだ。

それはお雪も望むところだ。

颯爽と現われ、ニセ警官たちを次々になぎ倒す。

おこのを追い詰めるところまでいくが、殺されるくらいならと、首をつって自殺するおこの。

お雪は怒りのあまり、おこのの胴体を真っ二つにする。

ドサッ。

これで復讐は終わったと思われた。

お雪と竜嶺は結ばれた(たぶん)。

実は竜嶺にはお雪に隠していたことがあった。

3年前に死んだ塚本儀四郎は、竜嶺の実の父だったのである。

その儀四郎(岡田英次)が突然、竜嶺の前に現われた。

死んだというのは偽装だったのだ。

そうして警察の追っ手から免れた彼は、今や武器商人界の第一人者となっている。

竜嶺に

「すべてのことから手を引け」

と忠告し、儀四郎は去っていく。

竜嶺はお雪にすべてを告白する。

そのうえで二人は決着を付けるべく、儀四郎が毎夜入り浸っている鹿鳴館に乗り込んでいく。

お雪は儀四郎らしき男を追い、殺害する。

しかし、その男は変装したダミーだった。

再び鹿鳴館の中をさがすお雪と竜嶺。

さきに竜嶺が儀四郎を見つける。

竜嶺の日本刀に対し、儀四郎はピストル。

かまわず斬りかかる竜嶺。

父親も容赦なく撃つ。

竜嶺は父親にしがみつき、動きを封じる。

自分の命を犠牲にしても、お雪に仇を討たせようというのだ。

お雪は父子を串刺しにする。

だが儀四郎は絶命しなかった。

お雪に向かい発砲。

お雪も最後の力を振り絞り、刃を薙ぎ払う。

因果応報!

復讐は終わった。

お雪が、雪化粧をほどこした鹿鳴館の庭をさまよう。

そこに現われたのは、伴蔵の娘・小笛だった。

短刀を構え、体ごとお雪にぶつかっていく小笛。

深々と腹を刺されたお雪は、小笛に力なく笑いかけた後、崩れ落ちる。

それを見て逃げ出す小笛。

庭に積もった白雪が、お雪の血に赤く染まる。

お雪の野獣のような咆哮が

冬の空にむなしく消えていった。。。

監督: 藤田敏八

脚本: 長田紀生

音楽: 平尾昌晃

出演者

鹿島雪: 梶芽衣子

足尾龍嶺: 黒沢年雄 鹿島剛: 大門正明 鹿島小夜: 赤座美代子 鹿島司郎: 内田慎一 三日月お寅: 楠田薫 タジレのお菊: 根岸明美 塚本儀四郎: 岡田英次 正景徳市: 地井武男 北浜おこの: 中原早苗 竹村伴蔵: 仲谷昇 竹村小笛: 中田喜子 松右衛門: 高木均 勝目大八: 長谷川弘 代貸: 松崎真 子分: 阿藤海、大倉賢二 柴山源三: 小松方正

道海和尚: 西村晃