『チャンプ』(1931・アメリカ) | 愛する人のためならがんばれる。

1931年の作品ですから

2020年から数えると89年前の映画ということになります。

1979年に、ジョン・ヴォイド主演で

リメイクされ、大ヒットしました。

父ちゃんが息子のためにがんばるというこの映画。

あんちゃんが恋人のためにがんばると『ロッキー』、お兄ちゃんが弟と南ちゃんのためにがんばると『タッチ』

息子がふがいない父ちゃんのためにがんばると

『バック・トゥ・ザ・フューチャー』です。

いつだって人は愛する者のためにがんばるのです。

『チャンプ』の父ちゃんは、ボクシングの元世界チャンプです。

ですから決してふがいない男では

ありません。が、性格がだらしない。

お酒大好き、バクチ大好き、まあどちらかといえばダメ人間の部類なのです。

そうは言っても元世界チャンプ。

とてもタフな一面も持ち合わせています。

いきなりネタばらしをしてしまいますが、

映画のクライマックス、

世界タイトルマッチで、主人公の父ちゃんボクサーは、大苦戦の末、ようやく勝利します。

喜ぶのもつかの間、試合の途中で

息子がタオルを投げようとしたことを

きびしく叱りつけるのです。

私には考えもつかないことでした。

むしろ逆に

「あの時、タオルを投げかけてくれてありがとな」

くらい言うのではないかと思っていました。

うーん、私が軟弱なだけなのでしょうか。

きっとそうなんだろうなあ。。。

あらすじ 。。。

“チャンプ”(ウォーレス・ビアリー)は、ボクシングの元世界王者。

体型からしてヘビー級だろう。

強いことは強いが、酒とギャンブルに目がない。

そのためにベルトを失ったし、次の興業もなかなか決まらない。

それでも息子のディンク(ジャッキー・クーパー)は

父ちゃんのことが大好き。

ある日、チャンプは博打で大勝ち。

お金の代わりに競走馬を手に入れる。

さっそく競馬で走らせることに。

チャンプは競馬場で

元妻のリンダ(アイリーン・リッチ)と偶然再会。

リンダはすでに再婚して

一人娘のメアリー・ルー(マーシャ・メイ・ジョーンズ )と、夫の3人とで幸せに暮らしている。

リンダの現夫・トニー(へール・ハミルトン)は、チャンプと以前からの知り合いで、今もなお、友だちどうしのつきあいを続けている。

リンダはディンクを産んですぐに離婚したため、成長した彼を見るのは初めてだ。

お腹を痛めて産んだ子ゆえの可愛さと、学校にも行かせてもらえない可哀想さと

相まって、母性本能を激しくかき立てられる。

そこで

自分が泊まっているホテルまで ディンクを連れてきてくれたらお金をあげる

とチャンプに持ちかける。

チャンプの競走馬はレースで負けてしまい

彼は文無しになっていた。

やむなくその話に乗る。

ディンクと対面したリンダは

ますます我が子への愛着が募る。

半年間、預からせてほしい

とチャンプに哀願する。

いったんは断わるチャンプ。

しかしその後、バクチで大負けし、元妻のところへ金の無心に行く始末。

さらに金銭トラブルが元で暴力沙汰。

チャンプは留置場のやっかいになる。

こんな自分と一緒にいては

息子がダメになるとさとったチャンプ。

心を鬼にして、面会に来たディンクに冷たく当たり

リンダの元に行くよう仕向ける。

ディンクはリンダ夫妻に引き取られた。

ほどなくしてチャンプは出所。

そしてチャンプの試合も決まった。

相手は世界チャンピオン。

チャンプ、返り咲きなるか。

練習をはじめるチャンプだが、今の彼は息子を失ったショックで、ふぬけ状態。

全くやる気がございません。

そこへ姿を現わしたのが当のディンクだ。

とにかく父ちゃんが好きでたまらなくて、リンダ夫妻の元を飛び出してきたのだ。

俄然、やる気を出すチャンプ。

パンチングボールをぶん殴ったら、窓の外まで吹っ飛んでいっちゃった。

そして世界タイトルマッチ。

チャンプ──ややこしいけれどこの表記のまま行きます。

本当は“元”世界チャンプです──は大苦戦。

まったく現王者に歯が立たない。

何度も倒れ、かろうじてゴングに救われている状態。

誰もがあきらめた瞬間、チャンプの渾身の一撃がヒット。

大逆転勝利!!

チャンプは世界チャンピオンに返り咲いた。

しかし控え室に戻る途中、突然倒れるチャンプ。

すぐに医師が駆けつけるが、悲痛な表情で首を横に振るのみ。

いまわの際のチャンプが、ディンクに問いかける。

父さんを見直したか? いつだって尊敬してたよ

チャンプは息を引き取った。

姿を現わしたリンダに、泣きながら抱きつくディンク。

リンダは我が子をしっかりと抱きかかえ、会場を後にするのだった。

The Champ (Movie Walkerより転載)

監督 キング・ビダー

原作 フランシス・マリオン 台詞 レオナルド・プラスキンス

撮影 ゴードン・エイビル

Champ ウォーレス・ビアリー

Dink ジャッキー・クーパー Linda アイリーン・リッチ Sponge ロスコー・エイツ Tim エドワード・ブロフィー Tony Carleton ヘール・ハミルトン Jonah Jesse Scott

Mary Lou マーシャ・メイ・ジョーンズ

第5回アカデミー賞(1932)

作品賞 チャンプ

監督賞 キング・ビダー 男優賞 ウォーレス・ビアリー

原案賞 フランセス・マリオン