最近読んだ5冊「日の名残り」「蜘蛛女のキス」「砂の器」他

最近読んだ5冊

「ストーリー」ロバート・マッキー / [Story] Robert McKee

シナリオ執筆の指南書です。

映画の中のセリフを非常に細かく分析し、会話のやり取りの裏で、もうひとつの感情がどのようにやり取りされているかを事細かく分析してくれています。 本書を読んで、映画への理解力がいちだんと深まったような気がします。

ますます映画を好きにさせてくれた一冊です。

「砂の器」松本清張 / [Vessel of Sand] Seichô Matsumoto

ベレー帽ですって? ほら、大黒頭巾のような、あれですよ

というセリフのやり取りには

う~ん、さすがに時代を感じさせます。

「点と線」を100点とすると、こちらは60点くらいでしょうか。

偶然が勝ちすぎる気がしました。

「ゴドーを待ちながら」サミュエル・ベケット / [Waiting for Godot] Samuel Beckett

オチが有名なので、なんとか最後まで読めましたが、そうでなかったら挫折していたでしょう。

芝居というより、実験作品という感じ?

「蜘蛛女のキス」マヌエル・プイグ / [Kiss Of The Spider Woman] Manuel Puig

タイトルから「ホラーか?」と思ったら

内容はぜんぜん違っていました。

二人が会話をしています。

男女のようです。

場所は監獄か何か、閉ざされた空間の中。

会話が進むにつれ、女性だと思われた人は

どうやら男性だと分かります。

彼はむかし観た映画のあらすじを

説明しています。

中盤であっと驚く転換点があって、そこで状況がほぼ分かり──。

傑作でした。

ラテン・アメリカ文学はヒット率高し!

映画もかなりの傑作との呼び声が高いので

いつか観てみたいです。

岡本綺堂戯曲選集 七 / [Selection of plays Vol.07] Kidô Okamoto

半七捕物帳の戯曲版が4編入っています。

「湯屋の二階」

「三河万歳」

「勘平の死」

「お化け師匠」

本人は休筆宣言をしていたにも関わらず、依頼が引きも切らず、果ては主役が何度も

自宅に直談判しに来るので、やむなく書いた、という作品がいくつかあるようです。

「日の名残り」カズオ・イシグロ / [The Remains of the Day] Kazuo Ishiguro

イギリスの名家に長らく使えていた

執事が主人公です。

現在、アメリカの富豪に雇われている彼は、休暇を利用して、むかし女中頭をしていた女性に会いに出かけます。

人手不足の昨今、以前有能な働きぶりを

示していた彼女を再スカウトする心づもりもありました。

かくいう主人公ももちろん優秀な執事です。

ただ、多少かたくなで、ドライすぎる面があるようです。

読者は、主人公の話を聞いているうちに、彼の言葉を鵜呑みにしていいものか

彼の考え方にこのまま乗っかっていいものかどうか

ためらわずにはいられなくなります。

このあたりの言外の匂わせかたが

さすがはカズオ・イシグロ氏、抜群にうまいです。

土屋政雄氏の名訳のおかげもありましょう。

「執事の思い出語りの何が面白いのか」

と思われるかも知れませんが、個人的には「わたしを離さないで」よりも

入り込めました。