『地上より永遠に』バート・ランカスター、モンゴメリー・クリフト、アカデミー賞ダブル・ノミネート。

明日、10月20日は名優バート・ランカスターの命日です。

(Burt Lancaster, 1913年11月2日 - 1994年10月20日)

亡くなってから2020年の今年で26年目になります。

今回取り上げる『地上より永遠に』での演技は

モンゴメリー・クリフトと共に

アカデミー賞主演男優賞にノミネートされました。

「え? 二人同時に主演男優賞?」

そうなんです。

本作の主役はバート・ランカスターなのか、モンゴメリー・クリフトなのか、どちらとも決めづらい内容なのです。

主演男優賞こそ逃しましたが、フレッド・ジンネマンがアカデミー監督賞、フランク・シナトラが助演男優賞をとるなど、『地上より永遠に』は合計8部門を受賞するに至りました。

あらすじ (ネタバレあります!)

1941年、今にも世界規模の戦争が始まりそうな時代。

ボクシング狂いの中隊長が率いる

ハワイのスコフィールド基地に、元ボクサーの プルーイット上等兵(モンゴメリー・クリフト)が

転属してきました。

これで軍のボクシング大会で優勝できる!

とホームズ中隊長(フィリップ・オーバー)は大喜び。

ところが意外にもプルーイットは誘いを固持。

じつは以前、友人を失明させてしまい、それ以来

リングには二度と立たないと固く誓っていたのです。

翌日から上官たちの熾烈ないじめが始まります。

しかしプルーイットは決して根を上げません。

そんな彼を気にかけてくれる人間もいます。

隊員の絶大な信頼を得ている

ウォーデン曹長(バート・ランカスター)と、以前からの知りあい、マジオ(フランク・シナトラ)です。

ホームズ“ボクシング部”中隊長の妻カレン

(デボラ・カー)は恋多き女として隊の中でも有名。

夫の浮気癖もあって、夫婦仲は冷え切っていました。

ウォーデン曹長は彼女を強引に口説き落とします。

夫の目を盗んで逢い引きを重ねる二人。

いっぽう、プルーイットはマジオの馴染みのクラブで

ロリーン(ドナ・リード)と知り合います。

二人は恋人同士になりました。

ある晩酒場で、マジオと営倉長

(アーネスト・ボーグナイン)が喧嘩をします。

昔なじみのマジオが殴られているのを見て、プルーイットの気持ちに火がつきます。

いじめに対する我慢もいい加減

限界に達していたところでした。

ブチ切れたプルーイットは

ついに上官との殴り合いを決意します。

大勢が見守る中、素手でのボクシングが始まりました。

ホームズ“ボクシング部”中隊長も駆けつけますが、とめようとせずに見ているだけ。

この様子をたまたま監査役が目にとめます。

のちに内部調査が始まり、ホームズ中隊長は

辞職に追い込まれることになります。

ところでプルーイットは以前、自分のせいで友人を失明させてしまったと思っているため

相手の顔を決して殴りません。

ボディしか攻撃しないため、さしもの元ボクサーも押され気味です。

ついにプルーイットは顔面を殴ります。

たまらず営倉長はノックアウトされました。

上官に手を出してしまったプルーイットですが、のちの調査で、非がないことが明らかになったため

おとがめなし。

営倉長への処罰もありませんでした。

ある夜、マジオは職務を抜けだし泥酔、営倉に入れられることになります。

そこにはあの営倉長が待ちかまえていました。

殴る蹴るの暴行を受けたマジオは脱走、しかし、ほどなくして力尽き、死亡してしまいます。

プルーイットは友の死を悼み、涙をこぼしながらトランペットを吹きます。

鎮魂の音色に黙祷を捧げる兵たち。

夜の街。

営倉長を待ち伏せるプルーイット。

ナイフでの決闘となりました。

プルーイットは営倉長を刺殺。

しかし自身も重傷を負わされました。

その後、逃亡。

ロリーンの家に匿われます。

営倉長を殺したのはプルーイットである、とウォーデン曹長は感づいていますが、プルーイットをかばい続けます。

そして運命の1941年12月7日(ハワイ時間)。

静かな日曜の朝、とつぜん日本の零戦隊が真珠湾を襲います。

混乱する基地。

ラジオが警戒を呼びかけ続けます。

臨時ニュースを聴いたプルーイットは

軍隊に戻ろうとします。

しかし途中、警戒中の兵に呼び止められても

とまらなかったため、銃殺されてしまいました。

ウォーデン曹長は、プルーイットのポケットに

あったマウスピースを形見として受けとります。

ハワイからアメリカ本土への

民族大移動が始まりました。

客船の中にカレンの姿が見えます。

夫と離婚し、ウォーデンと一緒に

……という夢は叶いませんでした。

カレンに話しかける女性がいました。

ロリーンです。

彼女は問わず語りに、戦死した婚約者の話を始めます。

彼は爆撃機に乗り込もうとしたところを銃撃されたの

……そうです。

自国の兵に撃ち殺されたプルーイットは、記録の上では、名誉の戦死をとげたことになっており、またそのように報道され、表彰もされたのでした。

いったい誰がそのように計らったのかは

言うまでもないでしょう。

ロリーンの手にはプルーイットの形見の

マウスピースが固く握りしめられていました。

(終わり)

感想。。。

軍隊内のイジメと言えば

『陸軍残虐物語』(監督:佐藤純彌、主演:三國連太郎)が

まず思いつきます。

あれに比べたら、アメリカは戦争中でも

きちんと道理が通るんだからいいよなあ──

少なくとも映画の中では──と思ってしまいました。

映像面では、バート・ランカスターとデボラ・カーの

浜辺でのラブ・シーンが有名ですね。

評判にたがわず凄かったです。

このエントリを書くにあたり、けっこうな数のブログを拝見しましたが、そのうちのほとんどのブログが

海岸でのキスシーン画像を貼っていました。

DVDのパッケージにもなっているヤツです。

不思議なことに

モノクロなのに青空に見えてしまうんですよね。

波もキラキラしているし。

どうやって撮ったんでしょう。

何か仕掛けが施されているのでしょうか。

あのシーンは、本作のテーマでもポイントでもないのに

なぜか観客の印象に強く残ります。

もう『地上より永遠に』といったらアレ!

という感じです。

映画は時々そういうことが起こるから不思議です。

監督

フレッド・ジンネマン

脚本

ダニエル・タラダッシュ

原作

ジェームズ・ジョーンズ

製作

バディ・アドラー

出演者

バート・ランカスター モンゴメリー・クリフト デボラ・カー

フランク・シナトラ