『許されざる者』(1992) ジョン・フォード、ドン・シーゲル、クリント・イーストウッドという正当なる系譜。

(追記)どうも見方を誤っていたようです。 クリント・イーストウッド監督を アメリカ映画の正当なる継承者だと 最近は考えるようになりました。

以下のレビューは過去に書いたものです。 見当違いも甚だしいことを 恥ずかしげもなく書き散らしており、 赤面の至りです。

いつか機会を設けて、あらためて鑑賞し、 レビューを書き直すつもりです。

それまでは自分への公開私刑の意味で 残しておきます。

(20181025)

現代の倫理観で描いた西部劇。 いつまでもジョン・ウェイン、ヘンリー・フォンダじゃないだろうということか。

娼婦の顔を切り裂いた男たちが、ジーン・ハックマン扮する保安官によって裁かれる。 「馬を7頭おさめれば許す」という裁定に、「それでは軽すぎるだろう」と、女たちは納得がいかない。

そこでみんなで金を出し合い、賞金をかけることに。 昔、非道のガンマンとして鳴らし、今では貧乏にあえぐクリント・イーストウッドモーガン・フリーマンが老骨にむち打ち、首を討ちに立ち上がるというお話。

貧乏農場主のイーストウッド。 豚に引きずられたり、馬に乗れなかったり、弾が当たらなかったりと、かっこ悪いことこの上ない。

だがもちろんこれは布石で、クライマックスには超人的な活躍を見せてくれるんだ…ろうと思ったら、それがそうでもないところがイーストウッドらしいというか。

すると今度は若いカウボーイが、「もう人殺しなんてごめんだ」と泣き言をこぼす。 どうやらこれは普通の西部劇ではない…というか、はっきりいって「アンチ」西部劇だ。

"許されざる者"とは、極悪非道な悪人を指しているのではなく、殺し合いに明け暮れるガンマンはもちろん、悪徳保安官も、売春宿の経営者全員のことを言っているようだ。

たしかに間違ってはいない。 しかし、当時には当時なりの倫理観があったはずだ。 それを21世紀に生きる人間が、今どきの気質をもってして断罪していいものだろうか、という疑問が残った。

たとえば、日本でいったら『忠臣蔵』を、「吉良上野介を殺すことはないよね」とか、「基本、暗殺はいけないことだよね」というところで語られたら、それは違うだろうと言いたくなる。

忠臣蔵』はもはや日本の歳時記のようなもので、すでに「型」として定着している。 そんなものにまで現代の倫理を当てはめることはない。

今回、イーストウッドがやったのはそういうことじゃないかという気がする。 自分こそ正しいと信じて疑わない孤高のガンマンが大活躍する「型」通りの西部劇は、イーストウッドにとって居心地の悪いものなのかも知れない。

そんな彼が撮ったこの映画は、私は観ていて居心地が悪い。 別に「型」でいいじゃん、西部劇なんだからさ、と思ってしまうのだ。

桃太郎侍』が何十人も斬り殺すことに、『ルパン三世』が窃盗を繰り返すことに、いちいち現代の倫理を持ち出して文句をつけてどうすんの。

イーストウッド扮する主人公が、自分をさえも「許されざる者」の一員だと思っているのなら、自分が手をかけた者たちの遺族に謝罪してまわり、「許しを請う者」として残りの人生をまっとうする道もあったのではないか。

若い頃にはたくさんの人を殺しました、その後、洋服屋として成功しました、そんな私はガンマンを全否定します、では、「やりたい放題、言いたい放題でけっこうな人生ですこと」と嫌味のひとつも言いたくなる。

そんな私には、おそらく一番「許されざる者」なんだろう、ジーン・ハックマン扮する自己チュー保安官が、一番男らしく、格好良く、潔い死に様に映った。

映画自体はめちゃくちゃ面白い。 どうせなら現代劇としてやってくれたら、もっと楽しめたろう。

本作はリメイクだそうで。 いつか機会があればオリジナルも観てみたい。

UNFORGIVEN (allcinemaより一部転載)

監督: クリント・イーストウッド 製作: クリント・イーストウッド 製作総指揮: デビッド・バルデス 脚本: デビッド・ウェッブ・ピープルズ 撮影: ジャック・N・グリーン プロダクションデザイン: ヘンリー・バムステッド 美術監督: エイドリアン・ゴートン、リック・ロバーツ 編集: ジョエル・コックス キャスティング: フィリス・ハフマン 音楽: レニー・ニーハウス 舞台装置: ジャニス・ブラッキー=グッダイン

出演: クリント・イーストウッド : ウィリアム・マニー ジーン・ハックマン : リトル・ビル・ダゲット モーガン・フリーマン : ネッド・ローガン リチャード・ハリス : イングリッシュ・ボブ ジェームズ・ウールベット : スコフィールド・キッド ソウル・ルビネック : W・W・ボーチャンプ フランシス・フィッシャー : ストロベリー・アリス アンナ・トムソン : デライラ・フィッツジェラルド デビッド・マッチ : クイック・マイク ロブ・キャンベル : デイビー・バンティング アンソニー・ジェームズ : スキニー タラ・ドーン・フレデリック : リトル・スー ビバリー・エリオット : シルキー リーサ・レポ=マーテル : フェイス ジョジー・スミス : クロウクリーク・ケイト シェーン・メイア : ウィル・マニーJr アリン・レバシュー : ペニー・マニー シェリリーン・カーディナル : サリー・トゥー・トゥリーズ ロバート・クーンズ : クロッカー ロン・ホワイト : クライド・レッドベター ミナ・E・ミナ : マディ・チャンドラー ジェレミー・ラッチフォード : アンディ・ラッセル保安官補 ジョン・パイパー=ファーガソン : チャーリー・ヘッカー ジェファーソン・マッピン : ファッティ・ロシター フィリップ・ヘイズ : リッピー・マグレガー ラリー・ジョシュア : バッキー